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どう取り組むか

ICBL有志団体によるミーティングの記録 (1999年10月12日ワシントン)
“Conversation on Cluster Bombs” Recorded by J. Daryl Byle
1.会議の出席者

Holly Burkhalter (PhysiciansforHumanRights); J. Daryl Byler (MCC Washington Office); Mark Frickey (Lutheran Office for Governmental Affairs); Steve Goose(Human Rights Watch); Titus Peachey (Mennonite Central Committee); Joe Volk(Friends Committee on National Legislation); Virgil Wiebe (MCC and Georgetown University Law Center)

2.各団体がとる立場

■Mennonite Central Committee(MCC)

 MCC(メノナイト中央委員会)はラオスとベトナムで不発弾・地雷の除去とその訓練に取り組む中でクラスター爆弾を問題とするようになった。それらは現在はMAGに引き継がれており、今やアメリカ合衆国のMCCはクラスター爆弾の禁止を求める政策提言活動の支援をする準備ができている。これまでに、クラスター爆弾に関する論文『今日落とし、明日殺す』を発表し、コソボ紛争の際はクリスチャン・サイエンス・モニター誌にクラスター爆弾の禁止を呼びかける論文を掲載した。インターンによる予備調査を行ったが、アメリカ合衆国の法の下ではクラスター爆弾の製造業者あるいは政府に、その不法性を申し立てることは難しいという結果が出ている。

■Physicians for Human Rights(PHR)

 コソボでのクラスター爆弾の使用に関するレポートを準備中である。PHRはクラスター爆弾の一時使用停止を呼びかける。 (アメリカ合衆国で)その国会決議を求める運動を検討中である。

■Human Rights Watch(HRW)

 HRWはすでに長年に渡ってクラスター爆弾の問題に注目している。これは対人地雷に関する活動の中から生まれた関心である。1994年には、トルコへのクラスター爆弾輸出を止めることに成功している。コソボ紛争の際には、クラスター爆弾の使用中止を求めるレポートを発表した。1999年の12月にジュネーブで開かれるCCW(特定通常兵器使用禁止・制限条約)のミーティングではクラスター爆弾に関する覚え書きを配る。

 従来、HRWはクラスター爆弾が一般市民にもたらしている被害については告発してきたが、その禁止や制限について法律上の検討を行ったり、考えを明らかにしていなかった。現時点では、HRWは、クラスター爆弾を包括的に禁止する明確な法的根拠は国際人道法に求めることはできないと考えている。だがHRWは、クラスター爆弾に関する様々な疑問や不安について検討するための使用の一時停止を求めることを決断した。

 クラスター爆弾については、その過去と現在における使用の実態、一般市民への被害、生産者、輸出業者、備蓄されているクラスター爆弾とそのタイプや特徴について、また細かな法的な分析など、NGOによって為されなければならないことが沢山ある。我々は何を禁止あるいは制限しようとするのかについて、認識を明確にしておかなければならない。全てのタイプのクラスター爆弾が一般市民に脅威を与えるわけではないからだ。

 クラスター爆弾そのものは「地雷」ではないが、クラスター爆弾の子爆弾は「地雷」だと考える。もし、軍事上の効果を意図して一定数のものが不発になるように設計されているとしたら、オタワ条約で禁止することが検討されてよいだろう。しかしオタワプロセスを推進したメンバーの中では、クラスター爆弾を条約の対象に含めないことははっきりと了解されていたことである。これから12月までの間、HRWはクラスター爆弾についてアメリカ合衆国の軍事関係者と密に交渉していく予定である。

3.論点

* 対人地雷の場合と比べて:クラスター爆弾について知らなければならないことは沢山あるが、ICBLが始まった時に対人地雷について知っていたことと比べれば、はるかに多くのことが分かっているといえるだろう。(HRW・スティーブ)

* 法的アプローチについて:スティーブは対人地雷の場合と比べてクラスター爆弾の場合はその本質的無差別性に関する議論を組み立てにくいという見解。それに対し、MCCのヴァージルは、クラスター爆弾については地図に記録を残すことが不可能であることを指摘し、また現在のアメリカ合衆国の“一人も兵士を失わない政策”のもとではクラスター爆弾がより多用されて一般市民に脅威になっていることを指摘した。

* 軍事的有用性:クラスター爆弾は未来の兵器である。どのタイプの子爆弾を禁止すべきなのか判断する必要がある。ジョーは国際社会で広く支持を得ることができるだろうかと疑問を提示した。対人地雷の場合と違って、クラスター爆弾は反政府軍に使われることはまずなく、政府軍によって使用されるものだからだ。

* 平行してキャンペーンを行う?:クラスター爆弾については地雷廃絶キャンペーンとは平行して別にキャンペーンを行うべきだ。なぜならICBLは対人地雷に関する政策提言活動を続ける必要があり、その基本的な焦点を広げるべきではないと思われるからである。しかし、ICBLは、メンバーの各団体、各国キャンペーンがクラスター爆弾に取り組むことは支持する。特に、ヨーロッパのキャンペーンの場合は、むしろクラスター爆弾の問題に好んで取り組むだろう。アメリカ合衆国のキャンペーンがクラスター爆弾もその対象に含めたならば、アメリカ合衆国はオタワ条約を確実に批准しなくなる。連携して効果的にキャンペーンを進めるには、一つの団体が先導役を担う必要がある。MCCがその役を担うとしたら、他のNGOや教会、軍関係者とのパートナーシップを築いて進めていくことが重要になるだろう。

* 成功の可能性:地雷廃絶キャンペーンの成功と、より多くの人が一般市民への戦争の脅威に気づくようになったことで、クラスター爆弾の禁止も現実的な可能性が出てきたのではないか。

(翻訳:東京YMCA真野玄範)